環境大臣記者会見

2009年09月15日

1.発言要旨

 今日は最後の会見ということでまず最初に皆様に心から御礼を申し上げたいと思います。私は初めて大臣になりまして、大臣の閣議後の会見を初めて経験いたしました。ここでの皆さんの質問は、まさに国民の知る権利という観点から大変重要な質問をされ、それに対して私ができる限りお答えするということ。国会質問と同様に、いや、それ以上に緊張してこの会見には臨ませていただきました。100回近くになったかと思いますが、週に2回なのでそれ以上になったと思いますが、本当にありがとうございました。大変有意義に、 私の意見を国民の皆さんに伝えていただくという意味でも、大変皆さんにある意味で御協力をいただいたということで心から感謝を最初に申し上げたいと思います。
 いよいよ明日退任いたします。1年1ヶ月と2週間という任期でございました。いろいろなことをしてきましたので、それぞれに思い出がありますが、主なものを少し振り返ってみますと、やはり中期目標、温暖化対策、二酸化炭素排出抑制の中期目標について、政府の方針を決める過程で私なりの意見を存分に、私の信ずるところを関係大臣会合で、また麻生総理にも直接1対1でぶつけたということかと思います。結果の数字についてはともかく、私の意見を思い切ってぶつけた、それが最終的な結果にも少しは反映されたと認識しておりまして、悔いはございません。
 そして、それと共にグリーンニューディール的な施策を取っていくことが、その中期目標の達成及び日本の活性化に不可欠であるということで、緑の経済と社会の変革という構想をまとめさせていただきました。1月6日だったかと思いますが、正月明けに総理に「こういうものを作りたい」と申し上げ、総理からも「よく省庁と連携してシャビーでないものを作りなさい」と言っていただいて、作業に着手し、最終的に4月20日に緑の経済と社会の変革という一つの大きな方向性を出せたと思っておりますし、これからの環境と経済の関係について、新しい分野を開いていく、学問分野としても新しい分野を開いていくことに少しは貢献できたのではないかと思っています。また、8月14日の選挙直前になりましたが、2050年長期目標達成に向けてこれが80%削減が可能であるということ、そして、その道筋はいろいろな道筋があり得るということ。これは経済発展を阻害しないで、生活レベルを守りながら日本が先頭に立って低炭素社会を築いていくこと、そのことによってのみ日本が生き残れるということを指し示すことができたと思っております。
 その他、水俣病につきましては、特措法を成立させることができたということは、まさに議員立法ということで各党、与野党、各党の議員の真摯な取組、また地元の皆様の熱意、患者団体の熱意と御協力があってこそだったわけですが、この法律ができたということは、私の任期中にできたということで、大変感動したものでございます。具体的な作業はこれから、まさにこれから大きな仕事が始まるわけで職員の皆様にはしっかりとこの法律の趣旨に則って、その目的が達成できるように指示をしたところであります。
 その他、COP10が来年名古屋で開かれます。この成功は、生物多様性のみならず、日本がこれから環境モデル国家として生きていくうえで、大変重要だと思っておりまして、この成功に向けていろいろ努力をさせていただいたということも大きな思い出でございます。
 循環型社会につきましては、一番思い出になっておりますのは、携帯電話の回収とレアメタルの都市鉱山としての扱い、そして循環型社会づくりの一助とすること。これはいろいろな所に行ってPRさせていただきました。楽しい思い出として残っております。千葉ロッテマリンスタジアムでマウンドに立って皆さんに御案内したということは非常に大きな思い出でございます。
 そういうことを一つ一つしゃべっておりますと永遠と続きますので、もうやめますが、最後に政治家と官僚の関係についていろいろ議論されておりますことについて、私はこの1年と1ヶ月、役所の皆さんには、たとえ私がこう考えているという考え方と違ったとしても自分の信念と思っている専門知識をどんどんぶつけて欲しいと。その議論の中からお互い議論して一つの方向性を出していこうと、決まったことについては大臣を先頭に一丸となって進んでいく。当然政治家と官僚は所掌事務分野が違います。役割も違います。その役割を踏まえた上で、しかし意見は自分の信じるところをぶつけて、一緒に努力をしていくという考え方でお願いをしてきました。1年1ヶ月を振り返ってみて専門知識が上の官僚の最終的に手のひらで踊ったという感じはありません。私なりにリーダーシップを示せたのではないかと思っております。環境省は風通しの良い役所だと思いますが、どうか新しい体制におきましてもその環境省の良さが活かされるように新しい大臣には明日引き継ぎでお願いをしようかなと思っております。
 私の方からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)今、大臣からいろいろと1年間の話がございましたけれども、中でも一番、大臣としての成果だというようにお考えでいらっしゃることは何でしょうか。

(答)一番大きな成果は、中期目標におきまして、これは新政権で変わるということかもしれませんけれども、真水で15%削減という決断を麻生総理にしていただいた、そこだと思っております。この15%削減は真水でございますけれども、一つ一つ、技術やまたその根拠となる方策を積み上げたものでございます。鳩山次期総理は90年比25%削減とおっしゃっておりますが、その中で真水分がどれだけあるかは、これからの検討ですけれども、我々が積み上げたこの05年比15%削減のひとつひとつの方策、太陽光発電でありますとか、また電気自動車の普及、断熱住宅の普及等々、これが一つの大きな基礎、ベースになると思います。そのベースを提供できたということは一番大きな成果かなと思います。少し余談になりますが、今日の閣議で、これはしゃべってもいいと思いますが、昨日特許庁に行かれた話を総理がされて、窓に貼り付けるシースルーの非常に薄い太陽光発電の特許の話を、今日されました。これを使えば、これまで屋根の上に置いて現状の何十倍という話をしてきたけれども、この技術を使えば何百倍という世界だなと、このようにおっしゃっておりましたけれども、正にこれから飛躍する日本の技術と、日本が世界の先頭を切って低炭素社会の目指していく、その基礎を15%削減の決断の中においてできたのではないかなと思っております。

(問)先ほど思い出の中に、水俣病の特措法のことに触れていましたけれども、今後民主党中心の政権内で具体的な方針づくりというものが進められていくわけですが、先ほど法律の趣旨が徹底されるようという話もございました、どのような目線でこの救済の中身を詰めていって欲しいかということと、それから加害企業の分社化ということが盛り込まれて、反対する団体もあるわけですけれども、その辺、どのように解きほぐしていったらいいか、その辺のお考えをお願いいたします。

(答)今後の基本的な進め方ですが、これは事務方にも指示を出したところでございますが、立法に携わった各党の議員の考え方をよく確かめながら、また地元の患者団体の方々の意見をよく聞きながら、できるだけたくさんの方に満足していただけるような形で進めるように、このような指示を出しました。私もその進め方については立法府に身を置きながら見守っていきたいと思っております。
 それから二番目の加害企業の分社化につきましては、私もオープンにはできませんでしたけれども、加害企業の方とも何回もお話し合いをさせていただきました。その中で、加害企業は地元に残って、しっかりとその責務を果たしていくという強い決意がありましたし、また今回の法律を施行することによって、逆にそれが可能になるという確信を私も持ちました。そういう意味で今後もチッソはあの地にあって、地元になくてはならない企業として、そして自分達が犯した罪について、常に反省しながら生きていく企業になられるとそのように確信しております。

(問)先ほどいろいろ在任中の成果についてお聞かせいただきましたけれども、もしやり残したこと、悔いが残ること、これはしたかったなということがあれば、教えていただけますでしょうか。

(答)一番悔いが残りますのは、COP15までやりたかったということでございます。これは今ここで言っても詮無いことでございますけれども、中国の解振華さんやアメリカのトッド・スターンさんとも、ちょっと心のやりとりができるかなという人間関係ができかけたきたところでございます。今後、アメリカと協調しながら、中国、インドも参加する国際的枠組みを作ることが重要です。そのことを最後までやりたかったというのが、大きな思いであることは確かでございます。しかしこれはしっかり新大臣にやっていただきたいなと思っております。
 あとグリーンニューディール関係で、エコポイントや電気自動車支援、またいろいろな諸施策を補正予算で実行を始めました。これらをより深めて、定常的な流れにしたかったという思いはございます。新政権におきましても、この「緑の経済と社会の変革」に基づいたグリーンニューディール施策については、私は日本が生き残っていける唯一の道だと確信しておりますので、引き続き進めていただきたいとこのように思っております。

(問)新政権の三党合意の中に、まず基本法の制定を議論していくという話があります。前国会にそれぞれ与野党から出された法案があって、それを中心に議論が進むと思いますが、野党なられるお立場ですが、どのような論戦を挑んでいかれるおつもりでしょうか。

(答)ぜひ超党派で一つの法律を作りたいとこのように思っております。民主党案の良いところ、悪いところありますし、まだ与党案ですが、自民・公明案の良いところ、悪いところございます。それらを組み合わせて、数字が出ているという面では民主党案は評価できますが、具体策が全くありません。与党案は、達成のための具体策もかなり書かせていただいております。それらを総合してぜひ早期に成立させたいと、これから野党の政策責任者という立場になりますけれども、進めていきたいと思っております。そのことでちょっと話がずれますけれども、一つ心配なのは国家戦略局というものを内閣の中に作られるということですけれども、議員立法の扱いがどうなるのか。これからは法律は与党と一体の内閣が提案するとこのようにおっしゃっておりまして、では立法府の中で議員立法を議論する時に、政府に入っていらっしゃらない与党の方と当然議論していくわけになるのですが、その方々がどのような権限があるのかまだ明確でありません。議員立法を作っていこうという動きが少し弱まるのではないかという心配をしておりまして、これは今後の国会論戦だと思いますけれども、議員立法というのは立法府の大きな仕事の一つでございますので、その道を閉ざさないこと、そして、閉ざさないどころか狭めないことということが非常に重要だと思いますし、その中で私はこの基本法成立を超党派で目指したいと思います。

(問)そうすると与野党間での協議をまずしていくべきだとお考えということでしょうか。

(答)はい、そうです。まあ私、すでに公明党の政調会長ですが、環境大臣を退任すれば早速始める仕事の一つとして、それを行いたいと思います。

(問)民主党が言っている地球温暖化対策税とか、排出量取引という話も前向きな姿勢を見せていますけれども、それについてはこれから大臣御自身、どのように関わっていこうと思っていらっしゃるでしょうか。

(答)中期目標を掲げられております。その高い数値目標、これは一つ一つの税制、また排出量取引という達成を担保する仕組みなしには到底できないものと思っておりますので、これはお作りになる方向だと思います。公明党としてはこの環境税と排出量取引につきまして、これを設けるべきだという政策にはまだなっておりませんけれども、党内で議論をして、この高い中期目標を達成するための一つの手段として、どのようなものを考えるかという議論を取りまとめたいと思っております。その中で非常に一つの有力な手段だと思います。

(問)今までの話の総括的な話になりますが、新政権なり、新大臣には環境省なり、国民生活、環境行政に関して、どのように進めていってほしいというような期待を持っていらっしゃるでしょうか。

(答)先ほど申し上げました、高い中期目標、そして長期目標を掲げて、それに向かって日本が社会の仕組み、そして産業の構造を変えていくということが、日本が世界の中で尊敬を集めながら生きていき、かつ経済的にも繁栄していく唯一の道だと思っております。そういう理念を明確に掲げていただいて、国民に分かりやすい形で掲げていただきたい。一方で負担を強調する声もあります。それも一つの真実でございますけれども、それを上回る大きな利益がある、この利益というのは金銭的利益だけではありません、いろいろな利益ですけれども、そういうことを分かりやすく国民の皆さんに提示をして、リーダーシップを発揮していくということを新大臣には望みたいと思います。

(問)在任中に大久野島沖の不審物の件がありましたが、振り返っての思いをお聞かせください。

(答)大久野島8月12日引き上げに行かせていただきました。住民の皆様から大変御心配をいただいておりますので、それを引き上げて、今、鋭意分析をしているところです。住民の皆さんに安心をしていただくということが重要だと思っておりますので、事務方にもこの問題についてしっかりと対応するようにとお話をさせていただいたところです。思い出という意味では、私自身、大久野島で作られた毒ガスが今遺棄されております中国の吉林省ハルバ嶺まで、私自身もう10年前ですけれども行って見てまいりました。その処分処理にも日本に課せられた大きな課題で、これもしっかりと責務を果たして行かなくてはなりません。そういう国際課題的な大きな思い出と、それから私が現実に住んでいる広島県の地域の方が心配されている今回の件と、ある意味ではそういう身近な問題、国際的課題から身近な問題まで通ずる問題なのだと感じさせてもらいました。これからも立法府に身を置きながらこの問題についてしっかりと取り組んでいきたいと思っておりますし、最終的に中国の遺棄化学兵器の問題、日本が責務を果たさないといけないし、日本国内にも色々な問題があります。この問題にもしっかり地域住民の方が安心していただけるように今後私も立法府の立場から頑張っていきたいと思っております。

(問)大臣は前から高速道路無料化については、民主党が掲げている温暖化施策と逆行しているのではないかとおっしゃってこらましたが、これから出られた後も主張し続けられるのでしょうか。また無料化による経済効果も国土交通省の試算がでて高いと言うことなので、温暖化というよりは経済政策という意味で民主党が無料化というものを位置づけて見えるのですが、その辺についてどうお考えでしょうか。

(答)まず第1点目ですが、これからも主張し続けていきたいと思っております。この前、岡田さんと、挨拶の途中でしたから深く議論してはいないのですが、岡田さんが「必ずしも二酸化炭素排出増には結びつくとは限らない」とおっしゃったのですが、私、「公共交通機関にとっては明らかにマイナスになる」と。公共交通機関というのは、一旦負のスパイラルに入るとどんどん進行してしまいます。そういう意味でも慎重に考えなくてはいけないのではないかと思っておりまして、明らかに今回の1000円でもJRは8%近い旅客減、飛行機もその程度の旅客減ということは言われておりまして、これは明らかに地球温暖化に逆行していると思います。国土交通省の試算はそういう公共交通機関の影響を考慮に入れていないと認識しておりますので、大変いい加減な試算だと思っております。そういういい加減な試算の元にこういう大事なことを決めてほしくないなということは、これからも主張していきたいと思います。経済効果ですが確かに経済効果はあるのかも知れませんが、長い目で見れば公共交通機関をこの日本から壊滅的状況におくこと、それから石油漬けの経済をそのまま引っ張り続けること、この二つのことを考えれば長期的に見ても私は経済的にマイナスを及ぼすと思っております。低炭素化を急ぐ、低炭素化の先頭を切るということが、長期的に見れば経済の活性化もたらすものだと思っております。

(問)COP15なのですが、あと3ヶ月ということになりました。依然先進国と途上国の対立が激しいわけですが、これから日本が果たす役割というものにどういうことを期待をされていますか。

(答)中国、インドなど主要途上国の参加、共通だが差異ある責任という原則の下での参加に日本がリーダーシップをとるということがこれからの交渉で最も大切だと思っております。そして日本はその武器として技術がございます。この技術、そしてこれに伴う資金供与ということも日本の大きな一つの武器になると思いますので、それらを使って議論をリードしてもらいたいと思います。その中で私、国会、関係大臣会合や与党での会議の中でこれから議論の大きな一つのネックになると思ったのは、技術支援そして資金供与をあたかも「悪」であるかのような考え方が多くまだはびこっているというのを感じました。私はその考え方を大きく日本の国会や政治家が変えて行かなくては、これから真の意味での世界のリーダーシップをとれないと思っておりますので、私これから立場は変わりますけれどもその点は国会論戦等でしっかりと伝えていきたいと思います。そういう技術支援、資金供与、この資金供与はそのことによって日本の排出枠としてカウントできるというメリットもあるわけで、そういうことも使いながら、そして高い中期目標を掲げて主要排出国の参加を促していくということが、今後の進んでいくべき道ではないかと思っております。

(問)環境省という役所のことについてお伺いしますが、1年間トップとして政治家としていらっしゃって、特に温暖化対策に当たって各省の省庁間の調整等で、環境省の役割を演じられた部分と限界を感じられて部分とそれぞれあったと思いますが、限界を感じられた部分があるとすればどういうところにあったのかと言うことと、これから環境省という役所がどういうところで存在意義というものを発揮すべきかと言うことをお聞かせください。

(答)正直言いまして限界を感じたことはあります。中期目標の策定に当たって我々はこう考えるということに対して、他の省庁から「いやそれは違う」という意見の表明もございましたし、総理に直接そういうお話もされたようで、それを覆すのに大変エネルギーが要った。また覆せない部分もあったということで、ある意味で限界を感じる部分はありました。しかしながらこれまで比較的弱小官庁と言われていたこの環境省が、これからの時代はまさに主要官庁であると。経済という意味でも、また海外へ日本のリーダーシップを示す外交という意味でも、また私たちの暮らし方という大きな意味でも、これからの日本の方向性を決める非常に重要な政策分野を受け持つ官庁である。このように大きく変わってきたと思っておりまして、そういう意味では自信を持って頑張って欲しいと、このように明日の職員への皆様への最後の挨拶で申し上げたいと思います。

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