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税制改正のポイントについて(公明新聞インタビュー)

インタビューに答える 斉藤鉄夫
インタビューに答える さいとう鉄夫

―今回の税制改正の特徴は。

斉藤鉄夫・税制調査会長 今回の税制改正は、十数年に一度の抜本改正と言えます。大きなテーマは消費税率引き上げへの対応でした。消費増税となっても、活力ある社会を維持していくため、自民、公明両党間で、あらゆる税制改革を一体的に行いました。

―軽減税率の導入が焦点になっていましたが。

斉藤 公明党は消費税率を8%に引き上げる2014年4月からの軽減税率導入を主張し、自民党と粘り強く協議しました。その結果、10%に引き上げる15年10月に、軽減税率として8%よりも低い税率の導入が可能である点を両党間で確認し、時間をかけて本格的な軽減税率の制度をつくる方向になりました。

―今後の詰めは。

斉藤 具体的には、与党税制協議会の下に設置される委員会で軽減税率の具体的な制度設計を議論し、協議会が年末までに結論を出します。政府も軽減税率導入に同意しています。公明党だけの公約だった軽減税率の導入が政府・与党の合意にまでなったのは大きな前進です。

―自動車関連税制の扱いも注目されていました。

斉藤 自動車取得税の廃止と重量税の負担軽減は、公明党が強く訴えてきたことです。それが実り、自動車取得税は2段階で引き下げられ、消費税率10%段階で廃止されることになったのは大きな成果です。最後まで公明党の主張を通し、大綱に盛り込むことができました。

自動車重量税については「エコカー減税」の基本構造を恒久化し、自動車の燃費性能に応じて負担を軽減することで決着しました。実質的にエコカーについては重量税廃止の方向にもっていきたいと考えています。

―重量税の税収が道路の維持管理・更新などの財源に位置付けられたため、「道路特定財源」の復活と報道されましたが。

斉藤 それはまったくの誤解です。道路特定財源とは重量税などの税収を一般会計とは別の特別会計で管理するものでしたが、前回の自公政権時代に廃止されました。

ただ、道路や橋、トンネルなどの老朽化対策などに必要な財源を自動車を使用する人が主に負担することは妥当だと思います。

―消費増税による住宅購入の落ち込みが懸念されています。

斉藤 その心配のない住宅税制にしました。例えば、住宅ローン減税を大幅に拡充しました。

その上で、所得税と住民税の納税額が低い中低所得者は住宅ローン減税の恩恵を十分に受けられないことから、税額から控除し切れない分を現金給付することにしました。

―そのほか、景気に配慮した税目は。

斉藤 従業員の給与や雇用を一定水準まで拡大した企業の法人税が減税される制度ができたのは公明党が提唱したからです。

さらに、中小企業などの法人の交際費損金算入を増やし、税負担を軽減するほか、祖父母が孫に教育資金を一括贈与した際の贈与税を非課税とすることも公明党の訴えが実ったものです。

―所得税や相続税などでは富裕層の課税が強化されました。

斉藤 消費税は低所得者ほど負担感が重くなるため、富裕層への課税を強化しなければ、消費増税の不公平感や格差は広がるばかりです。

一方で、地価の高い都市部で相続税負担が極端に重くなることに対しては当然、配慮が必要です。このため、相続人の生活基盤になっている宅地などの場合、土地の評価額を一定割合減額し、相続税負担を軽くする「小規模宅地の特例」を拡充することにしました。

<与党税制大綱のポイント>

自動車取得税は廃止

車の購入時に課税される自動車取得税は、消費税率が10%に引き上げられる2015年10月に廃止する。取得税の廃止は、消費税率の引き上げに合わせ、2段階で実施する。

車の重さに応じて車検時に課税する自動車重量税は消費税率を8%にする14年10月の段階で、燃費性能に応じた軽減措置を設け、14年度改正で具体策を検討する。

また、重量税は道路の維持管理や老朽化した区間の造り直しのための財源と位置付けることが決まった。道路の維持管理をめぐっては、山梨県の中央自動車道・笹子トンネルなどの老朽化対策が喫緊の課題としてクローズアップされている。このため、重量税の課税根拠を明確にした。

所得税、相続税を強化

所得税は最高税率を40%から45%に引き上げ、新たな区分として課税所得4000万円超を対象に適用する。

相続税の最高税率は50%から55%に引き上げる。また、相続税が発生しない上限額である基礎控除額を4割引き下げ、「5000万円プラス法定相続人1人当たり1000万円」を「3000万円プラス1人当たり600万円」とする。所得税、相続税ともに実施は2015年1月から。

控除の引き下げにより、地価の高い都市部の小規模住宅を相続する場合、新たに課税されるケースが増える見込みだ。そのため、相続税の軽減対象となる宅地面積を従来の240平方メートル以下から330平方メートル以下に拡充する緩和策も合わせて実施する。

最高税率引き上げは、自民、公明、民主3党が昨年6月に合意した「社会保障と税の一体改革」で、積み残しの課題となっていた富裕層への課税強化の一環。

住宅ローン減税が拡充

2013年末に期限が切れる住宅ローン減税は、期間を17年末まで4年間延長し、一般住宅では最大200万円となっている控除(減税)額を同400万円に倍増する。

住宅ローン減税は年末のローン残高の1%を10年間、所得税や住民税から差し引く仕組み。現行は対象残高の上限が2000万円、10年間の減税額が最大200万円(毎年最大20万円)だ。

消費増税前の14年1~3月の入居者には現在と同じ最大200万円の減税措置を適用。税率が8%に上がる14年4月から17年末までに入居する人については、減税額を最大400万円(毎年最大40万円)とする。

所得税や住民税の納税額が少ない中低所得者は住宅ローン減税の控除額を使い切れないため、14年4月から17年末までに入居する中低所得者に対しては現金給付を行う。

日本経済の成長促す

今回の税制改正では、政府の緊急経済対策に盛り込まれた税制支援策を具体化し、経済成長を促す。

例えば、給与が2012年度比で5%以上アップした企業は増加額の1割(中小企業は2割)を法人税から税額控除。雇用促進税制もてこ入れし、雇用者数を増やせば1人当たり40万円(現行では20万円)を税額控除する。さらに、研究開発投資の税額控除上限を2割から3割に引き上げるほか、中小企業の交際費を損金算入できる制度も拡充する。

一方、祖父母から子、孫といった直系の親族に教育資金を一括贈与した場合、贈与税を非課税とする。高齢者の資産を子孫の入学金や授業料といった教育費に活用し、若年世代への資金移転を進めて消費を活発化させるのが狙い。13年4月から15年末までの時限措置。贈与を受ける対象者は30歳未満とし、祖父母全員で子、孫1人当たり1500万円まで非課税とする。

【公明新聞より転載】

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