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肝炎被害 全面解決めざす

【公明新聞掲載記事より】

『薬害の「一律救済」公明リード/インターフェロン治療費助成も来年度から』
『基本法制定、通常国会で』

 公明党の尽力で、薬害C型肝炎の被害者を救済するための特別措置法が16日に施行され、肝炎対策への大きな一歩がしるされた。ただ、国内の薬害以外のB型、C型肝炎の患者・感染者は350万人に上るとされ、全面的な解決策が求められている。そこで、救済法や今後の課題、必要な対策などについて、斉藤鉄夫政務調査会長に聞いた。

 ――薬害肝炎訴訟の基本合意書が締結されました。
 斉藤鉄夫政務調査会長 一貫して「一律救済」を主張してきた公明党としては、感慨無量です。昨年末、政府と原告団との和解交渉が一度は決裂し、本当に落胆しましたが、今月11日には議員立法という形で、被害者の方々を救済するための特別措置法が成立しました。公明党の粘り強い闘いがあったからこそ、福田康夫首相の決断も生まれたと思います。
 15日に合意書が締結されたことで、全国10カ所の裁判所で争われている訴訟は、順次和解が成立する見通しです。

 ――特措法のポイントは。
 斉藤 被害者に給付金を支給することと、国の責任を認めたことなどが柱です。
 給付金は、肝炎ウイルスに汚染された「フィブリノゲン」「第九因子製剤」という特定の血液製剤を投与され、C型肝炎に感染した被害者や相続人に対し、症状に応じて支払います。
 具体的には肝硬変、肝がんの患者、既に亡くなられた方のご遺族には4000万円、慢性C型肝炎の方には2000万円、未発症の感染者には1200万円が支払われます。給付金の請求期間は原則として、法律の施行後5年間ですが、受給後10年以内に症状が進行した場合でも、医師の診断書を提示すれば、追加の給付金を受けられます。
 製剤投与の事実、因果関係などの被害者認定は、裁判所が行います。基本的にはカルテなどによる証明が必要ですが、この点については基本合意書の中で、カルテ以外にも医師や本人の証言なども考慮し、総合的に判断することなどを確認、幅広く認める内容となっています。一方、国の責任については法律の前文で、政府に対し「きちんと、おわびすべきだ」という趣旨の文言を明記し、感染被害者に甚大な被害が生じ、感染拡大を防止できなかった責任を認めています。

 ――原告団は全肝炎患者への対策も、熱望しています。
 斉藤 一部の人のみを救済するということではなくて、B型、C型肝炎の方々や、先天性の疾患で血液製剤を投与された結果、肝炎ウイルスに感染した方への対策も今後、広く国が責任を持って対応する体制を築いていきたいと考えています。
 肝炎に感染した方は、治療時の輸血や予防接種の際の注射の回し打ちなど、本人の責任ではないところで感染したケースが多く、国として、しっかりとした対策を講じるべきです。
 その一つとして、来年度の予算政府案に肝炎総合対策として、207億円が計上されました。前年より132億円増額されたので、倍増以上です。柱はC型肝炎の治療に有効とされる、インターフェロンの治療費助成制度です。
 インターフェロンは月額7万〜8万円も治療費がかかる高価な薬のため、治療を断念する患者が少なくありません。そこで患者の所得に応じて1万、3万、5万円を自己負担額として、残りを助成します。しかし、肝硬変や肝がんに進行した患者には、インターフェロンは大きな効果が期待できないなどの課題もあります。そうした方々をどう支援していくのか、今後、議論が必要です。

 ――与党は肝炎基本法案を衆院に提出していますが。
 斉藤 この法案は、国などが講ずべき基本的施策として、(1)肝炎の知識を普及し予防強化(2)早期発見へ検査の質向上(3)治療費の患者負担を軽減(4)肝炎研究の促進と迅速な薬品開発――などを挙げ、総合的な対策を進めていくものです。
 民主党も参院に肝炎対策の独自案を提出しています。先の臨時国会では、与野党で法案合意に向け協議を進めましたが、残念ながら結論には至りませんでした。18日に開幕する通常国会で、必ず法制化してまいります。
 肝炎の患者・感染者は国内に350万人いるとされ、「国内最大の感染症」ともいわれています。今回の法律は、薬害肝炎の方を対象としたものですが、B型、C型肝炎への総合対策は今、緒についたばかりです。今後、さらに幅広い救済が実現するよう、「命のマニフェスト」を掲げる公明党は、どの党よりも真剣に取り組んでいきます。

 『血の通った励ましが力に/救済法成立へ粘り強く道筋開いた公明』
 『薬害肝炎九州弁護団事務局長、弁護士/古賀克重氏』

 薬害肝炎救済法が1月11日に無事成立致しました。この場を借りてご尽力頂きました公明党の先生方に心より御礼申し上げます。この5年を振り返りますと先生方にはあらゆる場面でお力添えを頂いてまいりました。
 世論の盛り上がりの乏しい訴訟当初から、地元の東順治先生には秘書の方を通じ頻繁に傍聴頂いてきました。熊本原告さんと家族ぐるみのおつきあいをされている江田康幸先生は、いつも温かい声を掛けて頂き、与党PTでもご尽力頂きました。
 与党PTで自民党と公明党の意見が分かれ暗礁に乗り上げかけた時、赤松正雄先生は「座長の首をかけて訴訟も解決する」と明言され、失意の底にいる原告を身を賭して励ましてくださいました。坂口力先生は、厚生労働大臣時代に難問だったフィブリノゲンの納入医療機関公表を実現されるとともに、その後も省との間を取り持って頂きました。斉藤鉄夫政調会長には一番厳しい局面で全面一律解決への道筋を揺らぎなく、かつねばり強く耕して頂きました。
 そして今思えば年末、福田総理に直談判してくださった直後と思われますが、太田昭宏代表は議員会館の廊下でばったりあった原告らに「部屋においでよ」と声をかけてくださり、「もう少しだからね。公明党もがんばっているんだよ」と直接はげましの言葉を頂きました。以上はほんの一端でしかありませんが、他の先生方も含めた温かい血の通った、そして与党としての力強いお力添えがなければ、原告はさらに傷つき、解決も遠のいていたことは間違いないことでしょう。
 法律は成立しましたが、今後も、裁判では救済されないC型肝炎患者さんへの助成をどうするか、そして最高裁判決が出たものの放置されているB型肝炎患者さんへの対策はこのままでいいのか、20年も薬害肝炎被害が放置された過程を検証する作業など、課題は山積みです。引き続きご支援をお願いするとともに、全国の原告にかわり重ねて御礼を申し上げます。(寄稿)

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