政府の原発政策 生煮え
CO2削減 安定供給 安全検査
被害者に希望送る「仮払い法」成立に協力を
12日の衆院東日本大震災復興特別委員会で公明党の斉藤鉄夫幹事長代行は、東京電力福島第1原発事故の東電による損害賠償を支援する政府提出の「原子力損害賠償支援機構法案」について、国の責任の明確化を求めるとともに、原発事故の対応や電力の安定供給などに対し、政府内で十分な議論が行われていない実態を追及した。
斉藤氏は、政府案と公明党など野党5党提出の「原子力事故被害緊急措置法案(仮払い法案)」について、被害者救済の両輪と位置付けていくべきだと強調。仮払い法案は、国の責任を明確にし国が前面に立って仮払いを行うもので、「被害者に希望を与える法案」とし、早期成立への政府の協力を要請した。
菅直人首相は、「真摯に話し合いに応じたいと思っている」と答えた。
また斉藤氏は、エネルギー政策の制約条件として、国際約束である二酸化炭素(CO2)の排出量削減が、2012年に1990年比でマイナス6%、20年にはマイナス25%となっているものの、「原子力依存からの脱却」を掲げる菅政権の下でCO2削減が困難となり、他国から排出枠を買うなど電力会社に新たな費用負担が生じる懸念を表明。電力の安定供給とCO2の削減を同時に達成していかなければならないとし、政府案の賠償スキーム(枠組み)決定にあたって、こうした議論がなされたかを問いただした。
海江田万里経済産業相はCO2削減問題について「今回の賠償スキームの支援措置にはあたらないと判断している」と述べるにとどめ、政府内の議論が尽くされず生煮えの実態が浮き彫りとなった。
さらに斉藤氏は、停止中の原発の再稼働問題について、海江田経産相が九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)に再稼働を要請しながら、直後に菅首相がストレステスト(安全検査)の実施を指示したことに言及。「国民の間では安全や安定供給の問題ではなく、(首相の延命策など)政治的に利用しているのではないか」との疑念があると指摘したが、菅首相は「ストレステストについては大部分の国民が理解すると思っている」と強弁した。
そのほか斉藤氏は、政府案の基となっている原子力損害賠償法についても見直す必要性を訴えた。
【公明新聞より転載】