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公明、衆院選マニフェストで具体策 公明新聞(2021/10/12 3面)

 公明党は衆院選向けマニフェストで、災害に強い、安全・安心の「防災大国・日本」の構築を重点政策の一つに掲げている。国民の命と暮らしを守るため、国と地方の議員ネットワークを生かし、防災・減災や国土強靱化に向けた取り組みを着実に進めていく。

■5年間で対策を強化/災害の激甚化・頻発化に対応

 2018年の西日本豪雨や19年の台風19号、20年7月の豪雨など近年、豪雨災害による被害が多発している。また、南海トラフ地震、首都直下地震など甚大な被害が予想される大規模地震の発生確率が高まっている。

 こうした事態に対処するため、政府は18年12月に総事業費7兆円規模の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を決定。重要インフラの機能維持など緊急を要する対策を今年3月までの3年間で集中的に実施してきた。

 これにより、河川堤防のかさ上げや災害拠点病院の耐震化、学校施設にある落下や倒壊の危険性が高いブロック塀の撤去・改修などが進んだものの、激甚化・頻発化する災害への備えは十分ではない。

 そこで今年度から、5年間で総事業費15兆円に上る「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」が始まった。計123項目にわたる施策が重点的に実施されている【表参照】。

 具体的には、河川の流域全体で水害被害を抑える「流域治水」を推進。またインフラが老朽化する前に補修する「予防保全」の観点から、防災上重要な道路舗装の修繕完了時期を大幅に前倒しするほか、公立小中学校の耐震化などを進める。

 最新のスーパーコンピューターを活用し、豪雨をもたらす「線状降水帯」の予測精度向上にも取り組む。

 公明党は18年の党大会で「防災・減災を政治、社会の主流に」と掲げた。中長期的な対策の強化を政府に強く訴え、「3か年緊急対策」を実現。さらに対策の継続・拡充を求め、「5か年加速化対策」の策定を後押しした。

■(河川流域)住民、企業と協働

 「5か年加速化対策」の中でも目玉となるのが流域治水対策だ。

 従来の治水対策は河川管理者である国や自治体が主体となり、ダムや堤防を整備することで河川から水をあふれさせないことが中心だった。しかし、近年は複数の河川が広域で同時に氾濫するなど想定外の事態が相次ぎ、対応が追い付いていない。

 流域治水では、ダムや堤防の強化に加え、水があふれることを前提に遊水地や貯留施設を整備。ため池や田んぼも治水に活用し河川で受け持つ水の量を減らす【図参照】。

 こうした対策とともに、危険な場所にある住宅の移転や避難体制の確保といった対策も組み合わせて被害を軽減する。国や自治体、企業、住民ら流域の関係者が協働して取り組む点が特徴だ。

 対策の実効性を高めるため、4月に公明党の推進で流域治水の関連法が成立。11月までに順次施行される。関連法は、これまで大規模な河川に限っていたハザードマップ(災害予測地図)の作成を、近年氾濫が増加している中小河川にも拡大することなどが柱となる。

 また、浸水被害の危険が著しく高いエリアを都道府県が「浸水被害防止区域」に指定し、住宅や高齢者施設などの建築を制限。居室の床面の高さなど事前に安全性を確認した上で許可する。高台など安全な地域への集団移転も一段と促進する。

 貯水対策では、遊水機能がある河川沿いの土地における開発行為に事前の届け出を義務付けるほか、民間ビルの地下に貯水施設を整備した場合に固定資産税を軽減する規定も設ける。

■高齢者らの避難計画策定/市町村の努力義務に

 災害時に死者・行方不明者の大きな割合を占める高齢者の避難支援も大きな課題となっている。

 自力の移動が困難な高齢者や障がい者らを、誰が、どこに、どのように避難させるのかを定める「個別避難計画」について、対象者全員分の計画を作成済みの市町村は、全国で1割程度にとどまる。このため、5月20日に施行された改正災害対策基本法では、公明党の主張で、計画作成が市町村の努力義務となった。

 公明党は今後、計画作成とともに、その精度を高める訓練の実施を全国で後押ししていく。

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